【ドラマ】リトビネンコ暗殺

2006年に実際に起こったロシアの元スパイで英国に帰化したアレクサンドル・リトビネンコが暗殺された事件に基づくドラマで、全4話という一気見に向いた構成になっている。最近ではナワリヌイの暗殺未遂もあり、ロシアという国家には謀略がつきまとう印象がある。もちろん、日本が西側だという影響もあるだろうが、ロシアの閉鎖性と実質的な独裁体制は疑いのないところだ。

ロシアでは3月に大統領選挙を控え、プーチン体制がいつまで続くのかという状況なので、まさに今見るにはタイムリーな作品と言えそうだ。スコットランドヤードを含む英国の捜査機関が実行犯をルゴボイとコフトゥンのふたりであると特定するものの、モスクワでの操作はロシア当局の間接的な妨害に合って進展しない。最終的には、当時内相だったテリーザ・メイが公開捜査に委ねる決断をするが、その中でプーチンの名前は出さずに「ロシア政府」という表現を用いていたのは政治的に見えた。

主役のリトビネンコを演じるのは、「グッド・オーメンズ」の怪演が記憶に新しいデヴィッド・テナント。日本語の吹替は鈴村健一だが、毒を盛られて瀕死状態に陥ったリトビネンコの途切れ途切れの言葉に当てるのは、かなり苦労したことだろう。見事としか言い様のないくらい、こだわり抜いた吹替だった。