【全日本フィギュア】女子シングルFS

フィギュアスケート全日本選手権、女子シングルは混戦となった。島田真央と上薗恋奈のジュニア勢が健闘する一方、坂本花織と千葉百音を除くシニア勢の得点は伸び悩んだ。結果的に見ると、3Aや4回転で高得点を狙う選手はことごとく失敗し、ひとつひとつの要素の完成度を高めようとした選手が上位に並んだように思う。

そもそも坂本がまさにこのタイプの選手であり、よい目標になっているはず。千葉も回転軸のまとまったジャンプとスピンで、崩れなく安定感がある。三原舞依も要素の美しさで勝負するタイプであることを考えると、日本選手の持ち味を出すのはやはりこちらのスタイルなのではないだろうか。渡辺倫果や住吉りをんが得点を伸ばせなかったのは、ある意味必然だったのかもしれない。

それにしても、ジュニアのふたりは期待が持てる。島田は技に磨きがかかり、上薗はそれぞれの要素の完成度が高い。表現力を身に着ければ世界でも十分に戦えそうな気がするものの、育て方を誤ってしまうとつぶれる可能性も高い。

スケート連盟が若手選手に経験を積ませるような選考をすることも多いが、河辺のようにその後につながらないケースも散見される。周囲だけでなく、自身の期待にも押しつぶされてしまうリスクを考慮した上で妥当な派遣選考を行うことが、結果的にはスケート界に貢献する判断になるはずだ。