【アデレード国際2】バウティスタ・アグート―クォン・スンウ

クォン・スンウは高速サーブを叩きこんでペースをつかむ。いきなりのブレークで始まったこともあり、あっさりと勝負がついてしまうのではないかという予感が漂う決勝戦は、しかしながらセカンドセットに入ると、バウティスタ・アグートのディフェンスがハマり始める。今度はバウティスタ・アグートが最初のリターンゲームをブレークして優位に立つと、そのまま押し切ってセットオールに戻した。

ファイナルセットもバウティスタ・アグートのブレークで始まるものの、粘るクォン・スンウに2度追いつかれてタイブレークにもつれ込んだ。試合の終盤には長いラリーの連続となる。しかも、ゆったりした展開ではなく、速いショットを打ち分けながらの見応えたっぷりなラリー。それが30本続くケースもあって、目が離せない濃厚な勝負を見せてくれた。ファーストサーブが入らなくなって苦しんだクォン・スンウに対し、効果的なセンターサーブで追いすがっていたバウティスタ・アグートだったが、最後はギアを上げたクォン・スンウがサーブで主導権を握って押し切った。

オンコートインタビューでは、「韓国のファンがテレビを見ているから」と英語に続いて韓国語でもメッセージを送り、満面の笑顔を見せたクォン・スンウ。2年前のヌルスルタン以来のツアー2勝目となった。僕は昨年の楽天オープンでペドロ・マルチネス戦とティアフォー戦の2試合を観戦していて、そのときの印象からクォン・スンウが気になっていたので、この優勝には灌漑深いものがあった。敗れたバウティスタ・アグートも、ディフェンスの強さを示し、時折見せる控えめなガッツポーズと「バモス」の声でも存在感を残した。メルボルンでも、ぜひふたりに活躍してもらいたい。