【大分―水戸】過信の結果

高いDFラインで守る水戸からゴールを奪うには、ポストに当てた後の展開がカギだったはず。しかし、伊佐にボールがまったく収まらず、そこに対するフォローも弱いのではどうにもならない。失点後に60分を待たずに長沢を投入したのは正解だが、それでも遅すぎたし、そもそもゲームプランとして成立していなかったことは大いに反省すべきポイントだ。藤本は、長沢に当てたボールにラインの裏を突いてもらうプレーができるはずなので、彼や宇津元をシャドーに移動させる選択肢も見てみたかった。

ただ、その宇津元の右ワイド起用も疑問が残る。茂が出られないとすれば、戦術的に理解している屋敷がファーストチョイスになるべきだが、前節に結果を残した宇津元を優先した。今季の大分の好調さは、メンバー固定による戦術の徹底が大きいと思っているが、それを見誤ったのだとすれば下平監督の過信に他ならない。安藤を挙げてのパワープレーも、そこからの展開をまったく想定しておらず、相手の高いラインに対して低い位置に長沢と安藤の190cmコンビを並べても機能しない。ベンチに残した梅崎のような選手こそが、本来は必要な要素だったはずなのだ。

ここまで快調に勝ち点を積み上げてきた大分だが、盤石の内容だったわけではない。対応しなければならない課題は少なくないし、ピッチ上で自ら変化をつけられるメンバーではないことが一番気になっている。何のために梅崎をキャプテンに据えたのか、そのあたりをもう一度見つめなおしてみるタイミングなのではないだろうか。