【大分―甲府】歓喜は最後に待っていた

試合の流れから見て、もう勝てないだろうと、それどころか負けてしまうのではないかとすら考えたゲームは、最後に歓喜が待っていた。終盤の大分は、GKからのロングボールに頼るサッカーで、これでは下田や野村は生きない。肉離れから復帰した長沢を狙って金崎が絡むくらいしか可能性はないとも思ったが、右サイドを井上が崩して増山が折り返したところに長沢が決めるという劇的な勝利だった。

しかし、今日のMVPは間違いなく吉田舜だ。彼の2本のスーパーセーブがなければ、試合はとっくに決まっていた。1万人を超える観客を集めた昭和電工ドームで、三平のいる甲府に引導を渡されるようなことになっては、今後の観客動員にも影響はあったはず。それを防ぎ、最後に劇的な勝利をつかめたのは、吉田のおかげだ。小出の見事なゴールカバーも評価したいのだが、彼はその前にウィリアン・リラにフリーでシュートを打たせてしまっているので、プラスマイナスゼロというところだろう。

それにしても大分は、交代カードを早く切った試合では流れが悪くなっているように感じる。今日も60分を待たずにサムエルと梅崎を下げていて、確かに二人とも動くが落ちていたのは事実だが、チーム全体のギアの入れ替えという意味ではちょっと早すぎるのだ。もう少し引っ張って、ここぞというタイミングで交代する。下平監督は、その見極めがあまりうまくないのだ。中盤を飛ばす戦術を取る時点でのインサイドハーフの交代も同様だが、このズレが致命的なことにならないことを祈るばかりだ。