【映画】魔法にかけられて2

前作の原題が"Enchanted"で今作は"Disenchanted"なので、「魔法にかけられて」に対しては「魔法が解けて」という意味だ。15年という月日の経過を表すかのように、ジゼルもロバートもモーガンも、前作の延長では描き切れない。しかし、展開を追ってゆくうちに、これはジゼル役のエイミー・アダムスの役者としての変容に合わせて、「苦み」のある演技に挑戦させた内容ではないかと思えるようになった。エイミーは制作に名を連ねているので、自分のために作っていたとしてもおかしくはない。

はじめは「前作の延長」あるいは「後日譚」という意識で見ていたのだが、途中で本作が「血がつながっていない親子の絆」をテーマにした物語なのだということに気づいた。米国では離婚と再婚が繰り返されることも多く、また養子を育てるという文化も定着している。そんな中では、血のつながっていない親子は決して珍しいことではなく、そのために引き起こされる対立や不和、行き違いもあるだろう。LGBTQの問題も合わせて考えると、血縁とか遺伝子とかでは語れないものがあって、それこそが現代社会をかたちづくる重要な要素となっているのだと思う。

このような重いテーマを扱う上では、やはりミュージカル仕立ては有用だ。重苦しくならずに、心地よい感覚だけを記憶に残すことができる。本作はちょっと安易な設定も多く、楽曲もそれほどキャッチーではないのが残念だが、それもテーマの重さを考えるとやむを得ないのかもしれない。