【WBC】決勝 日本―アメリカ

WBCの決勝、アメリカが1点を追う9回二死という場面でマウンドには大谷、打席にはトラウト。この場面がやってくると期待するのは難しかったし、ここでこんなドラマが展開されるのは筋書きがあったとしか思えないような出来過ぎた展開だ。160km/hのストレートでカウントを稼ぎ、最後は140km/hの高速スライダー。情報によれば43cm曲がったということだが、それはつまりホームベースの端から端まで横滑りする変化球だったということ。確かに、ストライクゾーンを見事にスタイドしてゆく軌道が見えたのだが、あの場面であのボールをミートすることは至難の業だろう。

継投も素晴らしかった。先発今永は伝えられていたが、戸郷、髙橋宏、伊藤、大勢とつないでソロホームランによる1失点。テキスト速報を追っていたのだが、ダルビッシュが出てきたときはホームランを打たれそうな気がしたものの、それはソロでリードは保てるのではないかという予感もあった。なぜかはわからないが、その予感は的中する。見逃し配信で確認すると、シュワーバーにファウルで粘られ、いわゆる「投げる球がなくなった」状況だったようだ。このあたりは、さすがに実力の差といえそうだ。

準決勝で逆転サヨナラの口火となるツーベースを放ってセカンドベース上で咆哮した大谷は、決勝でもトラウトを三振に仕留めるとグローブと帽子を投げ捨てて吠えた。こんな仕草がチームメイトを盛り立てたことは間違いないし、本気で強豪国に勝ちに行く原動力となったのだろう。どんな組織においても、やはりモチベーションマネジメントは重要なのだ。