【徳島―大分】予想外の勝利

メンバーを見て、サムエルと町田、長沢が不在でテイシェイラと高木も先発していないことがわかり、不安がよぎった。さらには、サブにジョーカー的な選手も見当たらず、宇津元、屋敷、中川と期待はしたい気持ちはありながらも、経験と実績という意味では先行して逃げ切るしかなさそうに見えた。

前半は風と雨の影響もあって、ほとんど形が作れない。徳島のチェックが早いために中盤が間延びしてしまって、前線の3人もスピードがある選手ではないので、なかなかチャンスが作れない。野嶽は守備では効いていたかもしれないが、ビルドアップとしてはミスが目立ち、茂と藤本の両サイドも悪くはないものの、連携は良くなかった。鳴門のピッチは恐らく長めに刈られていたので、その影響でパススピードが上がらなかったのかもしれない。

そんな中で野村が先制し、追いつかれながらも高畑のCKからデルランがヒールで流したボールを宇津元が蹴り込んでの決勝点。昨季から何かをやってくれそうで、なかなか結果が出なかった宇津元がヒーローになったのは、今季の戦いを象徴しているようにも思える。予想外ではあるが、それだけにうれしさも倍増だ。屋敷と保田はU20代表でチームを離れてしまうが、何とかなりそうな前向きな雰囲気も感じられた。

それにしても、主審の吉田哲朗はひどかった。藤本がゴールネットを揺らしたのはオフサイドだったし、ハンドも意図的でなかったと言ってもおかしくはない。しかし、判定に至るまでの経緯があまりにも杜撰で、主審の威厳など微塵も感じられなかった。J2でダメな主審は少なくないが、あそこまで主体性と自信が感じられないのは珍しい。それに前半には取りまくっていたファウルを後半は取らないというブレがあったし、ポジショニングも悪く、終盤は走れなくなってすらいたように見えた。正直なところ、二度と当たって欲しくない審判の一人だ。