【ワールドカップ】クロアチア―モロッコ

中3日のクロアチアに対して、中2日のモロッコ。3位決定戦という微妙な存在だけにあまり議論にならないが、決勝戦の中3日と中4日以上にこの差は大きいはず。前半のうちにビハインドを負ったモロッコのレグラギ監督は、ギアチェンジの意思表示と体力面のウォッチを同時に判断することになり、厳しい選択を迫られた。ハーフタイムで1枚代え、56分に2枚目の交代。残りカードを切りにくい状況に陥り、66分には交代枠を使い果たしてしまう。もう少し我慢してもよかったとは思うものの、あの展開ではそれも難しかったのだろう。

選手同士があまり近くに寄らずミドル~ロングパスで崩すクロアチアに対し、サイドチェンジを効果的に組み入れて相手ゴールに迫るモロッコ。どちらの戦術も、今の日本代表には非常に参考になる。普段見ているJリーグでも感じるが、選手が狭いエリアに密集して数多くのパスをつなぐサッカーは、同時にディフェンスの選手もそこに集まってしまうことを意味する。選手間を開けて長めのパスを使えば、スペースを使えるチャンスも増えるということだ。ただ、そのためには強くて速いパスとそれを受け止めるスキルが求められる。サイドチェンジも有効だが、Jでそれだけの視野を持つ選手は非常に限られる現状がある。

例えばボヤトス監督が徳島で見せようとしたサッカーは、まさにクロアチアのような攻撃だったはず。そして大分から徳島に移籍した長谷川雄志は、まさに広い視野でサイドチェンジができるボランチだ。パーツとしては日本にもあるのだが、それを具現化して結果につなげるのは容易ではない。しかし、サムライブルーがベスト8以上を目指すのであれば、こういうことにも取り組んでゆく必要はあるのではないか。狭いところでパスを回して崩せる時代ではなくなってきているし、そこまでのクオリティは求めづらい。