【映画】アナザーラウンド

デンマーク人のマーティンと仕事でやり取りしていた際にたまたま北欧ドラマの話になり、彼が薦めてくれた映画「アナザーワールド」を見てみた。マーティンいわく、中年のデンマーク人の生活がよく表現されているとのことだったが、実際に見てなるほどという印象だった。主人公たち4人は高校に勤務する教師たちで、いかにも冴えない設定。「血中アルコール濃度を0.05%に保つと、すべてがうまくいく」という理論を実証するという口実でアルコールに溺れるという設定は日本でもありそうだが、理屈にこだわっているところがデンマークらしいところだろうか。

個人的にデンマーク人は気性が荒い印象があるが、まさにそれも地で行っている。自分勝手な理屈で正当化しつつ、好き勝手にふるまったあげく、反省するという流れは共感も呼ぶし、そこから何かを学べそうな気がする。そのあたりを淡々と描いているところこそが、本作がアカデミー賞国際長編映画賞を受賞した理由ではないか。馬鹿騒ぎの場面も許せてしまうような、そんな描き方なのだ。

主演はマッツ・ミケルセンだが、「フォロー・ザ・マネー」で刑事マッツを演じたトマス・ボー・ラーセンと「コペンハーゲン」にも出演していたマグナス・ミランがよい味を出している。トマス・ボー・ラーセンは刑事よりも悪党が似合うと思っていたが、こんな酔っ払い教師もハマっている。台詞が少なめだったことは残念だが、それも本作でのキャラ設定なのだろう。