【ウィンブルドン】デ・フロート―上地結衣

終わってみればディーデのうまさと強さが、またしても浮き彫りになったウィンブルドン車いす女子シングルス決勝だった。ただ、ここ数大会ではまったく歯が立たない印象だった上地が、かなり迫っていたようにも見えた。最初のゲームを上地がいきなりブレークしたが、ドロップショットを決めたことと、かなり考え抜いた組み立てに見えたことで期待は膨らんだ。そのあと一気に引き離されたものの、終盤に追い上げてあと一歩のところまでは行った。しかし、セカンドセットも序盤でリードを許すと、立て直すのは難しかっただろう。

上地はディーデのボディを狙っていた感じだが、巧みなチェアワークであっさりかわされ、逆にコースを狙ってフォアを叩き込まれる。これを何度も繰り返されると、さすがの上地もメンタルを削がれたことだろう。ただ、相変わらずディーデのサーブは不安定で、つけ込む隙も十分にあった。そこで攻め切れなかったり、アンフォーストエラーで自滅してしまうのは何とも残念だ。

今日の試合を見ていて感じたのだが、車いすのチェア部分の高さの設定はかなり悩ましいのではないか。高く設定した方が、長身のビッグサーバーのように打点の高いサーブを打てるはずだが、足元のボールを拾うには低い方がやりやすいはず。特に手が長いわけではない上地には足元の処理は難題だろう。ホイールの回転を見ていても、ディーデの車いすの方が安定して見えたので、単にテニスの技術だけの差ではないように思う。だからこそ、克服しがたい壁なのだろうか。