【ATP250リヨン】綿貫陽介―デミノー

吹きすさぶ強風。そして、舞い上がるレッドクレー。選手も審判も観客も、目を開けていられない時間が続くようなコンディションの中で戦った綿貫だったが、1セットダウンとなったところでリタイアしてしまった。最近のテニス界では、突然のリタイアで試合を終わらせてしまうことへの批判も起きているが、この日の綿貫もあまり予兆を見せていなかっただけに、見ている者としての納得感のない終わり方だったことが気になった。

綿貫のTwitterによれば、もともと腰痛を抱えていて、痛み止めを飲んでの出場だったとのこと。フィジカルに問題があったとすれば、あの強風の中では気持ちも上がらなかったのだろう。せっかくのベスト8進出ではあったが、それを決めた日のツイートで翌日が休みになることを喜んでいたのは、腰痛に悩まされていたからなのだろう。リタイアを決めた後に笑顔を浮かべながらデミノーと会話していたが、もう少し「演技」してもよかったのではないだろうか。

試合内容としては、ときおりみせる鋭いウィナーが印象的で、ドロップショットも冴えていた。デミノーも決して良い内容ではなかったので、チャンスは十分にあったのではないかと思う。微妙なジャッジに反発しなかったのも、すべてはコンディションが影響していたのだと思うと、結果的にプレースタイルや表情が淡泊に見えてしまうのはもったいないように思う。もう一皮むけるには、このあたりが課題なのかもしれない。