【四大陸選手権】羽生とジェイソンの競演

フィギュアスケート四大陸選手権、男子シングルは羽生結弦とジェイソン・ブラウンの競演に酔いしれた。羽生は曲をかつてオリンピックイヤーに使っていたピアノ曲のバラードに戻し、ピアノのタッチをそのままエッジに移したかのように、音楽をスケーティングで表現した。そしてジェイソン・ブラウンは、苦手の4回転を捨て去って、美しさに賭ける演技構成。どちらも隙がなく、芸術性という意味ではネイサン・チェンがこの場にいたとしても及ばないであろう内容だった。

今やジャンプの回転数が勝負ポイントになってしまったように感じるが、フィギュアスケートは曲芸ではないのだから、スピンやステップシークエンスなどにももっと注目すべきだ。ミーシャ・ジーアダム・リッポンのアートフルな演技は、曲との相乗効果で実に上質な時間を演出してくれる。

そして、羽生の演技の後にプーさんを投げ入れたファンは、エッジカバーをかけるのをやめてリンクに戻り、次に滑るジェイソンのために回収を手伝った姿を見て何を感じただろうか。フリーの後に同じことが繰り返されるなら、主催者側がしっかり対応する必要があるだろう。