【ストレイテナー】Crank Up

ストレイテナーの新作「Crank Up」は、ここ数作の傾向そのままに詞に重心を置いた作品が連なるミニアルバムだ。曲はシンプルでコード進行も自然なので、次のフレーズが想像できる、つまり、初めて聞いても口ずさめてしまうということだ。これはアルバムとしては心地よさにつながるし、アレンジも凝ったものにはなっていないので、肩の力を抜いて楽しむことができる。

僕はふだん、ついベースとドラムスの音を拾おうとしてしまうのだが、このアルバムではそんな努力は無駄になる。低音部にはそれなりに仕掛けはあるのだが、キャッチーなベースラインは少なく、目立つ部分は少ない。ナカヤマとひなっちは、プレイしていて少し物足りなかったことだろう。その分、耳に残るのがOJのギター。シンプルながら伸びのある音づくりは、エフェクターをガンガンにかけているわけでもなく、カシオペア野呂一生を思わせるような音。それは時代遅れととらえることもできそうだが、ホリエの歌詞重視は昔のフォークやニューミュージックへの回帰のようにも思えるので、OJの音はまさにハマるのだろう。

音の数に比べて歌詞が多い場合に、かつての「The Future Is Now」にように3連符で処理している部分がある。今のご時世ならラップのようにメロディを排してしまいがちだが、そこをあえて音符に載せる作業をしてくれるのはホリエのこだわりだろう。そしてそれも、先ほど触れた回帰の一環なのかもしれない。