【ドラマ】イエローストーン シーズン1

ケビン・コスナーの主演ということで興味を引かれたが、思いのほかダークな役柄だったことに驚かされた。つい先日見終わった「オザークへようこそ」を思わせる政治的な動きと、「サクセッション(キング・オブ・メディア)」のような一族の独善的なふるまいがモンタナを舞台に繰り広げられる。ケビン演じるジョン・ダットンは、直腸がんと闘いながら先住民居留地で展開する牧場をマフィアのような手法で経営する「巨悪」だ。派手な演技はないが、根っからの悪人ぶりを好演している、

それにしても、米国社会は「法の精神」という考え方を理解していないのだと、つくずく考えさせられる。法律の条文に書かれていることの根本にある発想を理解して順守しるのではなく、法律の隙間を見つけて争う。行間を読むのは、法に従うためではなく、抜け道を探すためなのだ。契約社会ということもそうなのだが、米国のように移民の多い他民族国家では「書かれていること」を信じるしかないということなのだろうが、弁護士のビジネスがさもしく見えてしまう。

この作品を見る上で、一番気になったのがケビン・コスナーの吹き替え。原康義が担当しているのだが、妙に甲高くて重みを感じない一方で、息の漏れ方や抑揚のつけ方がジジくささが目立ってしまう。原氏は70歳でケビンより3歳年上。何気なく聞いている日本語音声だが、英語の発声は一般的に低めなので、声の出し方まで置き換えてしまっているということ。これでよいと考えるのは、日本語版の作り手サイドの思い込みでしかないように思っている。