【Billie Eilish】Happier Than Ever

発売からは少し時間が経ってしまったが、なかなか聴き込む機会がなく、印象を捉えきれなかった。彼女の楽曲は短いリフが印象に残るので、1曲を通して、あるいはアルバム1枚を通して強烈なインパクトを受けるようなことは少ない。他のことをしながら、それに干渉せずに耳に心地よく響く。だから何度でも聴けるし、飽きのこない楽曲なのだと感じる。音域の狭さを、逆にうまく利用していると言ってもよいだろう。

ただ、このアルバムで妙に気になったのは、#1 Getting Olderの冒頭の部分でボーカルとおそらくシンセベースであろう低音とが、微妙にぶつかっているように聞こえる点だ。小節の中で音が上がったり下がったりする途中にぶつかる音が発生するのはよくあることだが、何拍分も続くとちょっと不快な印象を受けてしまう。最初の曲だけに、それが特に気になってしまうのだ。

おそらくは兄のフィニアスの仕業だと思うのだが、これを狙ってやっているとすると、かなりしたたかな戦術だということ。普通にスタジオ・レコーディングをしていたら、どこかでプロデュースサイドもフィルターがかってしまいそうな気がする。その意味では、このアレンジがそのまま世に出たのも、ビリー・アイリッシュならではということだろう。