【フィギュア】全日本選手権

男子シングルでは、これだけの激戦の中、軽々と制してしまう羽生結弦が異次元の存在だとあらためて認識させられた。三浦佳生が超速の素晴らしい演技で観客を驚かせるも、鍵山優真と宇野昌磨が安定の滑りで軽々と三浦の点を超えてゆく。そして、最後に控えていた羽生は、同じ競技でも別のカテゴリーであるかのような内容。4回転アクセルこそダウングレード判定となったが、ジャンプを含む他の要素すべてを高水準にまとめ、211.05点を獲得する。

4回転アクセルの成功が、今の羽生にとって最大、いや唯一かもしれないくらいのモチベーションになっていると思われるので、ここで成功してしまうと「区切り」がついてしまったかもしれない。そのゴールに一歩大きく近づいたことで彼の気持ちも切れずにつながったし、実現の舞台が北京になるかもしれないということは、見る側にとって大きな期待とはるはず。これは純粋に、歓迎したい。

そして、例年同様に長い時間待たされてのオリンピック代表発表。男子シングルは全日本の上位3人で、誰も疑いのないところだろう。女子は坂本花織、樋口新葉に河辺愛菜三原舞依は外れた。開示された選出基準からは「実績ベース」であることが見て取れるが、実際のところ連盟も「若手にチャンスを」という意識があるはず。その意味でも、三枠めで三原という選択肢は取り難かったのだろう。アンスダンスは小松原夫妻だったが、国籍を変えてまで日本の代表を目指してくれたティム・コレトが報われたことが、僕にはうれしかった。