【クイーン×ベジャール】バレエ・フォー・ライフ

WOWOWで放送されたベジャールによるバレエ「バレエ・フォー・ライフ」は、クイーンの楽曲を使ったコラボということで興味を持って見てみた。本来は日本公演が予定されていたものの、COVID-19の影響で中止になったもののようだ。

率直な印象として、これは「クイーンとベジャールのコラボ」ではなく、クイーンの楽曲を使ったベジャール演出のコンテンポラリー・ダンスだと感じた。楽曲は本来の味を失うくらい切り貼りされていた。「ボヘミアン・ラプソディ」や「サムバディ・トゥ・ラブ」あたりは十分にひとつの小品として成立したと思うのだが、そうしなかったところを見ると、これはクイーンへのオマージュのような要素はなく、あくまでベジャールが得たインスピレーションの表現なのだろう。

一番の違和感は、ダンサーがいわゆるドヤ顔で踊っていたこと。僕はロックやジャズでプレイヤーがただ自身のテクニックを見せつけるだけのソロを演奏するのが好きではないのだが、まさにそれと同じようなものを見せられたような気がした。それはもはやアートではないと思うのだ。ベジャールのファンには響くのかもしれないが、クイーンやクラシックバレエのファンには水が合わないのではないだろうか。