【ドラマ】ブレイキング・バッド

今さらNetflixで見始めた「Braking Bad」は、まじめな高校の化学教師がヤクの製造者となってダークサイドに落ちてゆくストーリーだ。シリアスな人間関係を扱いながら、ところどころにコメディの要素が織り込まれ、テンポよく淡々と物語が進んでゆく。登場人物はみんなひとクセあって、どこかに秘密を抱えている。それらがどう解き明かされるのか、もしくは解き明かされないのかにも興味が募る。

役者陣の演技も素晴らしい。主人公ウォルター・ホワイトのちょっとした表情、その妻スカイラーの悪女ぶり、脳性麻痺の息子ジュニアのナチュラルな演技。米国の映画・ドラマ界の層の厚さを思い知らされ、日本のそれがいかに薄っぺらいかを痛感した。舞台がアルバカーキというなじみのない都市であることも、この作品の魅力のひとつと言えるだろう。

先にスピンオフの「ベターコールソウル」を見てしまったために、そちらに登場したソウルやマイク、トゥコらのキャラクターが出てくると、ちょっとテンションが上がってしまう。この3人は本当に設定が見事で、スピンオフとして描きたくなる気持ちはよくわかる。ただ僕にとっては、ヤクの売人ながら徐々に善人の要素を前面に押し出してくるジェシー・ピンクマンに、一番惹かれているところだ。