【ドラマ】北氷洋

このドラマはAXNミステリーでの放送で、番組紹介でも「ミステリー」として扱っているのでそのつもりで見始めたが、ミステリー要素よりも北海からグリーンランドを越えたバフィン湾付近での航海や漁のシーンに見応えがあった。シェトランド諸島あたりの描写ですでに旅情というか辺境のロマンを感じていたが、北極圏の海氷の上を白熊が歩くところを見ると、思わず行ってみたくなってしまった。

漁のシーンは凄惨だ。捕鯨の部分では、銛打ちが鯨の背中に乗って狙いを定め、皮をはいで鯨油を取る。アザラシを撃って引きずる場面もあるが、こういった過去の漁の結果が今の生物多様性の縮小につながっているのだと理解できる。目を覆いたくなる映像もあるが、理性にはいろいろと訴えかけてくるものがあるのだ。ロケはノルウェーで行われたようだが、北の海の厳しさは十分に伝わってくる。

主人公の船医サムナーを演じるジャック・オコンネルの抑えた演技と、自分の利益のためなら心を動かさずに殺人を犯すドラックスを演じるコリン・ファレルの狂気迫る演技の対比が見事だ。時代物なので、最初はちょっと戸惑ったものの、エピソードが進むにつれて興味が増してゆく展開で楽しめた。