【ワールドカップ】ベルギー戦

西野監督は試合後の取材で「追い詰めましたけど、何が足りないんでしょうね」と話したという。今日のベルギーとの試合は、内容も素晴らしく見応えのあるものだった。しかし、伴ってこなかった結果を得るためには何かが足りない。それは「自信」ではないだろうか。

前半のベルギーは、表情が硬かった。勝たなければならないプレッシャーは相当になったのだと思う。だからこそ、日本代表に勝機はあったのだ。最初の違和感は後半立ち上がりに柴崎の裏へのパスを受けた原口がゴールを決めた瞬間だった。原口の表情は「どうだ!」「やったぞ!」ではなく「入っちゃった…」なのだ。そして乾が2点目を奪うと、チームは3点目を狙うでもなく守りに入るでもない中途半端な状態に陥る。かつて大分トリニータが浦和に3点先行しながら、4失点して敗れたゲームのようだった。西野監督のシナリオには「後半の早い段階で2点リード」は存在せず、ゲームプランがなかったのだろう。

そして後半の中盤、ゴール前で乾にシュートを打てる場面が訪れたが、乾は一瞬迷ってそれを逃す。「自分はすでにゴールを決めたから、誰かにチャンスをあげたい」という意識が垣間見えた。これが一番危険だ。昨年の全豪オープンで錦織がフェデラーからファーストセットを6-0のベーグルで奪うチャンスがありながら、遠慮を見せてしまった場面にも似ている。そしてベルトンゲンのゴール。2点のビハインドから1点取ったチームは、間違いなく勢いづく。

そして間違いなく西野監督は延長を想定し、いったんプランをリセットしようとしていたことだろう。だからこそ、延長に入れば4人目の交代ができるにも関わらず、交代枠をさらにひとつ残した。しかし、そこにたどりつく直前、CKの選択ミスから決勝ゴールを奪われてしまった。自信と、それを裏付けるための実力。まだまだ、日本サッカーの道のりは長い。