【金正日死去】北アジアの緊迫

朝鮮中央放送で重要な放送を担当してきた女性アナウンサーのリ・チュンヒさんが姿を消しているという情報に何かが起きそうな予感はしていたものの、さすがに金正日総書記の死去とは思いませんでした。野田首相は情報の確認を指示したそうですが、この報道の仕方からして「間違い」ということはなさそうです。

これで北アジアのパワーバランスは微妙に崩れるでしょう。韓国が砲撃事件と絡めて動く、あるいは大統領選挙を控える米国が強硬になるということも想定されますが、国内で立場が微妙になっているプーチンのロシアも「仮想敵国」を作ることで国民の目を逸らせようとする懸念もあります。そんな中で、日本にとって一番の脅威は北朝鮮の崩壊。そこまで行かないにしても、想定される最悪のシナリオは「脱北者の大量流入」ではないでしょうか。

ただ、世界経済のことを考えれば、中国、韓国、米国、ロシア、そして日本は「北朝鮮を消滅させない」方向に動くでしょう。ドイツが旧東ドイツの統合で背負った負担とは比較にならないくらいのインパクトが、北朝鮮の消滅でもたらされる懸念があるからです。現体制を維持しつつソフトランディングさせるには、北朝鮮の生活水準は現行程度に保つしかありません。そのために北朝鮮の上層部を懐柔することも視野に入れねばならず、関係諸国の連携とタフな外交交渉が求められますね。それでも、避けて通るわけにはいかないはずです。