【ブリヂストン美術館】アンフォルメルとは何か

東京・京橋のブリヂストン美術館は、企画展でも混雑しないし、落ち着いた雰囲気で魅力のある場所です。7月6日まで「アンフォルメルとは何か?—20世紀フランス絵画の挑戦」が開催されているので、久しぶりに訪れてみました。

アンフォルメルとは耳慣れない単語ですが、フランス語で「非定型の芸術」を意味し、印象派から後期印象派表現主義抽象絵画という流れに分かれた潮流を再び統合するような動きであったともいえるようです。ブリヂストン美術館の常設でも見られるザオ・ウーキーの作品は、かなり僕のツボだっただけに興味を惹かれていました。デュビュッフェ、ヴォルスといった画家の作品もありますが、やはりザオ・ウーキーの「彩色した水墨画」のような絵画の世界には引き込まれてしまいます。

ただ、全般的に画家の思いが強すぎて、メッセージとして伝わりにくい印象もあります。芸術作品は究極のプロダクトアウト。つまり市場が求めるものを世に出す「マーケットイン」ではなく、芸術家の表現したいままに買い手のことは度外視して作るものだと、僕は思っています。もちろん、すぐれた芸術は、理解され買い手もつくのですが… ほとばしるような芸術家の思いを、想像しながら鑑賞してみるのも一興です。

そして常設では、ルノワールの「座るジョルジェット・シャルパンティエ嬢」とピカソの「腕を組んで座るサルタンバンク」だけでも十分に元が取れるくらいの充実ぶりです。

http://www.bridgestone-museum.gr.jp/