【トリノ・エジプト展】ピラミッド再発見

いちおう書庫は「アート」に分類しましたが、エジプトの祭器や副葬品のようなものは芸術作品ではなく、実用品なのでしょう。作り手が何かを表現しようとしたというよりは、当時の人々に違和感なく受け入れられる「商品」として生み出したものではないかと思いました。

それにしても、日本人はなぜこれほどまでにエジプト文化やミイラに興味を持つのでしょう。この日の上野・東京都美術館は雨にも関わらずかなりの混雑。僕がかつて訪れたパリのルーブル、NYのメトロポリタン、ロンドンの大英博物館でもエジプトのコーナーにはなぜか日本人が群れていたのです。

展覧会の入口を入ってすぐ、ピラミッドと墓の模型がありました。地中深くに設置された棺を納める部屋と、その目印のようにそびえるピラミッド。これを見たときに、まさにピラミッドは墓石が大きくなっただけのものに思えました。文化人類学的な意義はいろいろとあるのでしょうが、第一義的には墓の目印であり、その権威を誇示するための大きさだったのでしょう。そんなことに気づかせてくれた展覧会でした。内容も、ツタンカーメンあり「死者の書」ありと、なかなか見応えがあります。

http://www.torino-egypt.com/