【ホノカアボーイ】ハワイらしく、らしくなく

先週末に公開された「ホノカアボーイ」を、池袋のテアトルダイヤで鑑賞してきました。3連休の初日の夕方とあって混雑を覚悟していましたが、7割程度の入りで余裕がありました。

一番のお目当てはハワイの美しい海や空の映像。カットインされるハワイ島大自然や熟して落ちた植物の実など、ハワイの色や匂いまで伝えてくれていました。しかし、反面物足りなさも感じます。意図的なのかロケを行った季節の制約なのか、空が灰色がかっていて海も青さがまぶしいほどではありません。確かにハワイ島は火山の噴火や天候の影響で、ピーカンの日は多くないのですが…

この作品を見ながら僕が考えていたのは、舞台設定がハワイ島のホノカアでなければならなかったのだろうかということでした。登場する人物全員が日本語を話し、ハワイの文化や風景はある程度抑え目になっています。ブログなどでは「かもめ食堂に似た雰囲気の作品」という論評がありましたが、確かに「どこかにあって、どこでもない」土地の感じです。ホノカアが舞台なのは、たまたま原作者がそこで経験したことだからなのかとも思いました。

僕の結論は、やはりホノカアがふさわしかったということでした。登場人物たちが引かれ合い、もたれ合うように生活がオーバーラップしていくのは、やはり日本からある程度離れたホノカアという距離感が必要だったのだと思うのです。

倍賞千恵子の存在感は別格ですが、チョイ役で登場する蒼井優深津絵里がいいスパイスになっています。主役の岡田将生も、素朴だけど複雑な心理が動いていく様子をうまく演じていました。程よいテンポで進んでいくので、時間も気にならずゆったりと楽しめる佳作です。

http://www.honokaa-boy.jp/