【日本-オーストラリア】フィニッシャーは誰だ

試合が終わった後のインタビューで、選手たちは一様に「やろうとしていたことはできた」と語っていた。確かに中村俊輔のパスから、田中達也が内田が大久保が引いて守ったオーストラリアのDFを切り裂いた場面は多かった。しかし、サッカーには優勢勝ちはない。どんなに崩しても、得点を決めなければ勝てないのだ。

さて、それでは岡田監督のゲームプランはどのようなものだったのか。俊輔と達也に両サイドバックと松井がからんで崩すのはいい。最後にゴールを決めるのはあくまで玉田だったのか、それとも遠藤か長谷部だったのか。玉田には惜しい場面もあったが、得点の匂いがしたかと言われればNOだ。開始早々にサイドネットを揺らしたシュートは角度がなかったし、以降はいいポジショニングで走りこんでも精度が悪すぎた。

遠藤も、惜しいミドルシュートを放った。この試合で、一番得点の匂いがした場面と言えるだろう。しかし、いずれにしてもサイドで崩してチャンスメイクした後、誰が中央でシュートを放つ役割だったのか。僕には、いまひとつはっきりしたビジョンが見えなかった。

繰り返そう。サイドで崩して終わりなのではない。そのボールをゴールに叩き込むために、玉田はどこからどう走りこむべきなのか。そして長谷部と遠藤は、その後方をどうサポートすることになっていたのか。ピッチの上では選手の仕事だが、チームの決め事を確立するのは監督の仕事だ。サイド偏重の1トップで、果たしてアジアを勝ち上がれるのか。僕はかなり否定的なのだ。