【浦和-大分】無言の「赤」

試合終了後に埼玉スタジアムから浦和美園駅に向かう赤いレプリカの長い列は、まさにスコアレスドローの後の光景だった。そこには歓喜も落胆もない。何を語ってよいのか、このドローをどう評価すべきなのか、その行列の誰もがつかみかねていた。まるで葬送のように、いや葬列というものは意外にもっと明るいものだ。それほどまでに重苦しい、押し黙った人たちの群れがすべてを語っていた。

この試合の最大のポイントは後半30分に西川が見せたファインセーブでも、後半23分にポストを叩いた森島のヘッドでもない。それは前半27分に、右サイド平川からのパスに抜け出した高原が取られたオフサイドだ。僕の目にはオフサイドではなかったし、あれを決められていたら試合はまったく違う展開になっていたはずだ。今日の吉田寿光主審の笛は、比較的大分に有利に吹かれていたように思う。

<GK>西川:6.5(ファインセーブあり危なげなし)
<DF>深谷:6(前からのしつこい守備)、森重:6(広いエリアでカバー)、上本:6(マーク受渡よし)
<MF>高橋:6.5(再三裏取る)、エジミウソン:6.5(負傷明けとは思えない)、ホベルト:6.5(ポンテを完全に抑える)、鈴木:6(守備でも貢献)、金崎:6.5(キープ力さすが)
<FW>森島:6(高さで競り勝つ)、ウェズレイ:6(無理せず抑え目)
<SUB>清武:6.5(短い時間も読みで貢献)、下川:6(落ち着いてプレー)、高松:評価なし
小林亮、西山、藤田、前田は出場せず
<監督>シャムスカ:6.5(金崎起用も清武投入も当たる)

浦和で気になったのは、エンゲルス監督がポンテに代えて山田を投入した場面。ポンテは自分が交代であることに気づくと、信じられないという表情でベンチに向かって叫び、ベンチでもコーチのねぎらいすら拒絶していた。ミッドウィークにはACLを戦う浦和にとって、この不協和音が尾を引かないことを願いたい。今日のポンテはホベルトにほぼ完璧に抑えられていたのだから、交代は止むを得まい。