【東アジア選手権】中国戦・ジャッジのバランス

北朝鮮と引き分けて迎えた第2戦の中国戦は、予想通り完全アウェイの環境の中でのゲームになった。山瀬のゴールは鮮やかだったが、オフサイドを取られながらも繰り返しゴールを狙った田代や間一髪で危機を救った楢崎のプレーも印象に残った。しかし、問題は終盤にスタジアムを支配した異様な雰囲気だ。

激しいフィジカル・コンタクトが続き、日本選手が傷む。そして中国サポーターのブーイング。しかし、その矛先はTBSの実況によれば中国チームのペトロビッチ監督にも向けられていく。発炎筒が焚かれるや否や軍服のようないでたちのスタッフに踏み消され、ピッチにはペットボトルまで投げ入れられた。半年後にこの国で開催されるオリンピックに、一抹の不安を感じずにはいられない。

そんな中、北朝鮮の主審は意外にも微妙なバランスを保っていた。確かにファウルの取り方やオフサイドは怪しかった。田代のゴールは明らかにDFより手前のところでパスが出ていたし、加地や中澤への不当なチャージも目についた。それでも鈴木啓太の報復行為をイエローで止め、中国選手のペナルティエリア付近でのシミュレーションは一切取らなかった。

逆に言えば、あれだけ押し詰まった場面でラフプレーを犯してしまった鈴木啓太には、キャプテンとして反省を促したい。そして、安田をはじめとする日本代表に、大きなケガがなかったことを祈りたいところだ。