【サントリー美術館】水と生きる

東京ミッドタウンに移転したサントリー美術館の、開館記念企画第2弾「水と生きる」を鑑賞してきました。平日にも関わらず、年配の主婦層を中心に賑わうミッドタウンでしたが、日本画中心ということもあってか美術館の中は比較的落ち着いた雰囲気でした。ここでは歴史上の日本の「水」との関わりが、錦絵や屏風絵、陶磁器、漆器などで解きほぐされていきます。この企画自体には多少無理があり、あまり展示全体を貫くコンセプトは感じられなかったです。

展示を見てまず感じたのは、海や川の色でした。特に海は、ハワイやグアムで見るような海の色ですが、珊瑚礁もないのに、当時は本当にあんな色だったのかという点に非常に興味を持ったのです。マリア・ルゴッシーのガラスを使った「胎内」を思わせる作品群は「海は生命の母」とも受け取れるし、また「水⊃羊水」という解釈もできました。唯一の現代海外作品であるこれが、一番コンセプトを感じられたのは皮肉ですね。

展示の終盤には様々な色合いの「青」で染められたファブリックがあります。水色、空色、藍色のように通常使われるものの他に、浅葱(あさぎ)、瓶覗(かめのぞき)、縹色(はなだいろ)などの微妙な色合いの違いも染め分けられています。このことからは「青=水」に対する日本人の思いが伝わってくるような気がしました。

美術館のハコとしては、2フロアをうまく使い高級感あふれる空間を演出しており、その影響で若干わかりにくい順路に対しては、案内係をちゃんと配置しています。館内から望むミッドタウンのガーデンビューもなかなかのもので、美術鑑賞のブレイクにちょうどよい位置にある休憩室から楽しめることもポイントですね。六本木駅から直結していますし、水曜~土曜は20時までの開館なので、梅雨空の仕事帰りにサントリー美術館で心をリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。

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