【エイジア】来日公演onWOWOW

このバンドは僕が大学生の頃に活動していたポップスオーケストラでも「ASIA」の曲を毎年のように演奏していたのですが、僕自身もこれまでに聴いたどのアルバムよりもセカンドアルバム「アルファ」が一番好きだと公言しています。初来日の直前にジョン・ウェットンが脱退し、結果的に日本ツアー専用の代打となったグレッグ・レイクにボーカルを託したASIAにとって、オリジナルメンバーでの始めての来日公演でしたが、僕は「昔の栄光」にすがった年金公演に見えたので、あえてチケットを買いませんでした。

しかし、WOWOWで放送されたライブを見る限り、確かに皆それなりに齢を重ねている分、合わなかったり聴かせる部分でオクターブ下げたりということはありましたが、それほど悪くなかったです。意外なほどよくできていたと言った方がよいかもしれません。自分たちの曲は最も売れたファーストアルバムを中心に、各メンバーの「エイジア以前」の曲もそれぞれ1曲ずつというサービスもありました。

個々に見ていくと、ジョン・ウェットン(b/vo)は「どうも~、こんばんは!」という手馴れたような日本語でMCをはじめると、ジェフの前所属バグルスの「ラジオスターの悲劇(Video Killed the Radio Star)」ではハンドメガホンを使ってエフェクトをかけることを楽しんでいるようでした。そのジェフ・ダウンズ(key)は、「ザ・ヒート・ゴーズ・オン」のソロでは、前半をアルバム通りに弾くと、後半はアドリブでジェフ節を奏でます。

カール・パーマー(ds)はジョンの喉を使わせない配慮からか、MCまで務めて目立っていました。そして自分の前所属EL&Pの「庶民のファンファーレ(Fanfare for the Common Man)」では彼らしい雑な、音符の数やテンポを無理やり合わせこむドラミングの健在ぶりを見せてくれます。最後にスティーブ・ハウ(g)はまったく老けすぎですね。あれでは天本英世の演じた仮面ライダーのキャラクター「死神博士」のようです。ただ演奏では、「ドント・クライ」でマンドリンを聴かせてくれるなど、衰えをしらない様子でした。

WOWOWの放送では東京公演のセットリストにあった「偽りの微笑み(The Smile Has Left Your Eyes)」がカットされていたのが、僕にとっては残念でした。放送時間に収めようとすると、確かにあの流れではこの曲が対象になるのはやむを得ないとは思うのですが…