【松岡農水相】責任の取り方

死者を悪く言うことは、少なくともこの国では是とされない傾向がある。しかし、敢えて僕は言いたい。有権者の選択によって国会議員の命を受け、さらには閣僚として行政の中枢を担っていた松岡氏だ。彼のしていた不明朗な会計がどのようなものか解明もせずに、ただ死して責任が取れると思っていたとしたらそれは民主主義国家の根底を揺るがすものではないだろうか。

かつて自らの命を絶ったとされる中川一郎のケースとは、まったく事情は異なる。そうは言っても、中川氏も農水大臣を務め、実子の昭一氏が自民党政調会長の任にあるのは、何かの因縁だろうか。鈴木宗男氏も中川一郎氏の秘書だったことを考えると、やはり政治の世界は生臭い。

遺書があったと伝えられることから、自殺であることは間違いないだろう。そこまでするくらいならば、国会であそこまではぐらかした答弁をする前に何か別の手を打つことができなかったのだろうか。これで参院選における自民党の動向にプラスに動くとも思えない。安倍晋三首相と派閥の領袖である伊吹文明がどう対応するのか見ものである。ただし、民主党も下手にはこの問題を取り上げにくくなったことも、また事実であろう。