【人事の話】国会議員の育児休暇

自民党衆議院議員である宮崎謙介氏が、来年の通常国会期間に育児休暇を取得する意向を示したと報じられています。世論は「国民の代表なのにけしからん」という声が大勢ながら、少子化対策の一環としての男性の育児休業取得を支援する声も少なくないようです。党内の意見が保守的なのは、世代的な価値観としてやむを得ないような気がします。

さて、この問題は分解して考えるべきだと、僕は思っています。そもそも「育児休業の取得」という本来労働者にしか当てはまらない語句を使っているから混乱するのです。「休暇」とは権利として認められたもので、「休職」は特定の事由で就業しない行為に対して解雇を留保するものですが、ともに労働者のためのものです。国会議員は労働者ではなく、雇用契約ですらないので、当てはまるはずがありません。僕の勤務先の取締役もよく「午前半休を取る」とか「フレックスタイムで」などという表現をしますが、冗談半分で「取締役は委任契約なので、就業規則の対象外ですよ」と指摘しています。国会議員もこれと同じことになるのです。

ただ、それでは国会議員は育児のために国会を休めないかというと、そこは本質を見極めて落としどころを見出せばよいと思うのです。国会議員には歳費や不逮捕特権のような制度があるので、それらの権利を休業中は放棄するのは当然だと思います。その上で、一定期間後に復帰できるのであれば、一概に「ダメ」とする必要はないのではないでしょうか。