【チェコ-ガーナ】オフサイドの明暗

GKの好守が光ったこの試合だが、勝負を決めたのはオフサイド、つまりDFラインのコントロールにあった。両チームとも試合を通してみれば、非常に多くのオフサイドを取った。チェコは後半19分から10人という事情の中、頼みのネドヴェドがあそこまでオフサイドにかかってはチャンスすら作り出せない。

そして、チェコのDFはふたつのミスを犯した。試合開始早々のガーナFWギャンの得点シーンでは、チェコDFウイファルシがラインを上げきれずに残ってしまい、ギャンのスピードに振り切られた。ウイファルシはガーナにPKを与え、主審への異議でレッドカードをもらってしまうが、彼のフラストレーションの原点は序盤のこのミスにあることは間違いない。

そして、2点目のシーンでもチェコのDFラインはうまくトラップをかけたかに見えたが、副審の旗は上がらなかった。スロービデオで見ると、確かにラインの上がりが一瞬遅れていたのだ。スピードでは勝てない相手をオフサイドにかけるのは定石だが、その戦術にはリスクも大きい。チェフの繰り広げたナイスセーブの嵐も、さすがにこのミスまではカバーできなかったようだ。

勝ったガーナのスピードある攻撃は見事だったが、リードして向かえた終盤に見せたラフプレーは見苦しかった。いわゆるポルトガル語の「マリーシア」ともいえないような露骨なファウルに出された6枚のイエローは妥当と言えよう。最高の舞台でのプレーは、世界中が注目している。サッカーの神様が微笑んでくれるようなプレーの質を、指導者と選手は保つ努力を見せて欲しい。