【名場面】楢崎敗れたり!

今年から1シーズン制になったJリーグだが、実は過去にも1度1シーズンだったことがある。その1996年は、折り返しまで鹿島と横浜Fが首位を争っていた。前半戦最後のゲームの直接対決で、マジーニョの先制にジーニョが直接FKを叩き込んで追いつく。そして当時まだ行われていた延長でも決着がつかず、PK戦へ。鹿島の相馬が外し、横浜Fは6人目の服部まで全員が決めて勝利をつかんだ。

このゲームの後、GK楢崎正剛はマザロッピGKコーチの指導について触れ、「キッカーの軸足を見て、爪先の向いている方向に飛ぶ」ことを記者に話してしまう。そのニュースを聞いて、「そんな手の内をばらして、大丈夫なのか」と訝ったものだ。

そして、横浜Fのその年の最終戦は浦和だった。すでに0-2と敗色濃厚な横浜Fだったが、終盤にPKをとられてしまう。そしてPKを蹴るべくボールをセットしたのは、浦和のGK・田北雄気だった。田北はあっさり楢崎の逆を取ってPKを決めたのだが、僕にはひとつのことを想像していた。「田北は軸足の爪先の向いていない方に蹴ったのではないか」、それによって楢崎に勝負の厳しさを教えたのではないか。

スローで見てもそこまではわからず、この仮説は僕の想像でしかない。この時のことを、確かめる機会があったらうれしいと思う。