【サッカー紳士録】ジョルカエフ

Jリーグがオフに入り、ヨーロッパもクリスマスで試合のない週末なので、「オフ企画」もどきでこのシリーズをはじめてみようかと思います。記念すべき初回は、僕がフランス代表を応援するきっかけになった選手、元フランス代表のユーリ・ジョルカエフです・・・

94年のキリンカップ、国立の日本-フランス戦で僕は彼のプレーを生で見た。パパン、カントナ、ジノーラと並ぶビッグネームの中で、ひときわ印象に残ったのがゴール前に閃光のごとく走り込んで、日本ゴールを揺らしたジョルカエフのシュートだった。それは僕に世界レベルの高さと、フランス特有のパスサッカーの醍醐味を教えてくれた。

そんな彼のプレーには、もうひとつ記憶に鮮明に残るものがある。母国フランスで開催された98年のワールドカップ、決勝トーナメント1回戦のパラグアイ戦である。この試合、ジダンをサスペンションで欠くフランスは、このポジションにジョルカエフを起用する。GKチラベルトを主体に堅牢な守備を見せるパラグアイに、フランスは攻めあぐねた。フランスの中盤は、ボールを持つとジョルカエフを探し、そしてボールを預ける。何とかしてくれと言わんばかりに。しかし、ジョルカエフは本来司令塔、つまりパスの出し手よりも受け手として生きるタイプ。当時の日本で言えば、中田ではなく前園だったのだ。

この試合、結局は交代出場のピレスとトレゼゲが作ったチャンスを、攻め上がっていたDFブランが決めたゴールデンゴールでフランスが勝利する。そのときのジョルカエフのほっとした表情が、今でも忘れられない。