【大分―群馬】垣間見えた甘さ

前節にJ2残留を決めた大分トリニータが群馬を迎えたホーム最終戦は、直前に梅崎司の契約満了がリリースされたことで、位置づけが難しくなっていた。恐らくはコンディションが万全ではないのであろうことが推察されることから、ロスタイム直前くらいの時間帯に野村と交代で入ることが想定された。

試合は大分ペースで進み、前半から強気のパスを何度も通して群馬ゴールに迫るものの、なかなかフィニッシュが決まらない。しかし後半開始早々の51分に、セットプレーからペレイラが競って群馬GK櫛引が弾いたボールをデルランが豪快に蹴り込み、2試合連続ゴールを決めて先制した。ペレイラのプレーはファウルにも見えたが、VARのないJ2であまりしつこく監督が抗議しても意味はないだろう。しいて言えば、選手の鬱憤を晴らす代役を買って出たというところだろうか。

そして62分には、屋敷が裏へ抜けてクロスを入れ、野村のセンスあるプレーを経由したボールから弓場が決める。アカデミーの後輩がお膳立てをして1年先輩が決めたゴールだったが、ベンチ前で弓場を嬉しそうに祝福していたアカデミーの大先輩の梅崎が印象的だった。

ただ、これで安心してしまって受けに回ったことは悔やまれる。これが今季の大分の甘さであり、それが垣間見えた場面だった。結果的には1点を返されたが、そのプレーもゴール前でボールウォッチャーが何人もいる状態で、今季に何度も見たシーンを繰り返してしまった。

仮に追いつかれていたとしても、梅崎の投入を回避することはなかっただろうが、無事に野村からキャプテンマークを譲り受け、笑顔でプレーする梅崎の姿をレゾナックドームで見られたのは何よりだった。

甲府が敗れたために、またひとつ順位を上げて15位となったが、最終節は昇格プレーオフがかかる仙台なので勝つのは容易ではない。とはいえ、西山哲平GMの最後の試合でもあるので、大分としても勝利への執念は見せてくれることだろう。