【エミー賞】第76回授賞式

LAのピーコック・シアターで開催されたエミー賞授賞式は、U-NEXTで生配信された。「SHOGUN 将軍」がドラマ部門で圧勝したのは前評判通りではあるが、作品賞と主演俳優賞を除いてはあまり目立たなかっただけに、驚かされる結果だった。真田広之のていねいなスピーチは、日本人俳優のパイオニアとしてハリウッドで活躍する彼の矜持だったに違いない。ドラマに登場する彼を見ると嘘臭さを感じてしまうのだが、この授賞式という舞台でふるまう彼の姿は、日本人として誇らしい感覚しかなかった。

主演女優賞はアンナ・サワイ。真田よりもナチュラルな英語で、ストレートな感情を爆発させたスピーチが印象的だった。作品賞ではショーランナーのジャスティン・マークスが、真田があえて日本語で話した部分のスピーチを通訳していたが、これもチームの関係性がしっかりできていてこそだろう。

僕としては「私のトナカイちゃん」に期待していたとはいえ、リミテッド/アンソロジー部門の作品賞に加え、主演男優賞と助演女優賞、それに脚本賞まで取ってしまったこともサプライズだった。主演男優で脚本も書いているリチャード・ガッドはキルト姿で何度も登壇したが、彼にとって役者としての賞とライターとしての賞ではどちらがよりうれしかったのか気になる。事実をベースに書かれた作品で、それが故に訴訟まで起こされているくらいなので、彼にとっては脚本賞に意味があったのではないだろうか。

また、「ザ・クラウン」のダイアナ妃役でドラマ部門の助演女優賞を受賞したエリザベス・デビッキも注目している俳優だが、本人も受賞するとは思ってもいなかったようで、「準備していなかった」と自ら語ったスピーチは実にシンプルなものだった。マイクの位置が低すぎて、191cmという長身の彼女の声を拾っていない部分もあったのは、ある意味彼女らしいエピソード。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」にも出演しているので、今後にも大いに期待している。

SHOGUN」は未見で、あまり見る気もなかったのだが、この流れで見ずにスルーするのは難しそう。お試しでも見てみようと思っている。