【ドラマ】すべての見えない光

扱っている内容は非常に重いのだが、1話60分ほどの4話構成なので、あっという間に見終わってしまう。第2次世界大戦の末期、ノルマンディに上陸した連合国軍がサン・マロに至るまでの時期に、短波放送を使ってレジスタンス活動をする人たちによるナチスとの闘いが描かれる。その昔、BCLと呼ばれていた海外の短波放送を聴いてレポートを送ることが趣味だった時期もある僕にとっては、13.10(MHz)という周波数に合わせて放送を聴くことが特別なものであるということはよく理解できた。

すぐそこまで連合国軍が迫る中、何とか希望をつなぐフランス人と国家よりも自らの利害を優先させて私欲に走るナチス将校。抽象化されているとはいえ、それはまさに当時のヨーロッパ大陸が持つ空気感だったのではないか。それを短波放送が媒介していたという設定も、1940年代の描写としては絶妙だ。

盲目の少女マリーが主人公だが、その父親を「ハルク」のマーク・ラファロ、父親のおじを「Dr.House」のヒュー・ローリーという濃いコンビが担う。それだけでも見応えがあるが、ナチス将校役のラース・アイディンガーのねちっこい演技も必見だ。見る者に嫌な気分を与えるという悪役に必要な要素をふんだんに織り交ぜ、主人公を引き立てる演出は素晴らしい。