【ジルベスターコンサート2022-23】「新世界より」とピアノ連弾

今回のジルベスターも、盛りだくさんというかお子様ランチ的というか、年末年始らしいとりとめのないラインナップ。その中では、ヴィヴァルディの冬が印象に残った。ソリストの服部百音の音はちょっと重めだったが、オケの歯切れの良さでうまく中和されて曲調を醸し出していた。

そしてドヴォルザーク交響曲第9番新世界より」から第4楽章での年越し。最後の音を8秒伸ばして切るのは、ジルベスターの演出としては安直な気がする。個人的には、例えばキャンディード序曲のように最後の後がリズミカルに切れる曲で、その1秒後に新年を迎えるのが理想ではないか。また「新世界」という単語は新年にふさわしいようにも見えるが、本来は「新世界=新大陸=アメリカ」を指すので、違うメッセージにもなりかねない危うさもある。

そして一番の見どころは、ピアノのYouTuber「かてぃん」こと角野隼斗と指揮者の鈴木優人によるバッハをベースにした即興連弾。鈴木の楽しそうな表情が何とも良い味を出していて、明けたばかりの新年の雰囲気にはふさわしかった。

MCの高橋克典が眠そうに見えたことが気になったが、それ以上に、年齢層がかなり高いこのオーディエンスがカオス状態であろうセンター街を抜けて渋谷駅に向かうことを考えると不安でしかなかった。Bunkamuraの建て替えでオーチャードホールの営業も縮小するようだが、次回の年越しはどうなるのだろうか。