【ジルベスターコンサート】小曽根真とリベルタンゴ

毎年、テレビ東京が中継してくれる東急ジルベスターコンサートを楽しみにしているのだが、今回はとにかく盛りだくさん。本編の年越しは生誕250年を迎えたベートーヴェンの第5から第4楽章。指揮を務めた沼尻竜典は、最後の音を3秒前に発音して1秒前に切るという絶妙なタイムマネジメントだった。ちなみに、ベートーヴェンの生誕250年を祝して、広尾のドイツ大使館の外壁にはベートーヴェンにちなんだ子供たちによる絵画が展示されている。

僕が一番期待していたのは、小曽根真リベルタンゴ。小曽根は、現代音楽っぽいジャズを披露してくれたが、このコンサートの雰囲気と客層に合っていたかというと微妙な気がした。演奏自体も構えてしまったせいか、少し硬かったように思う。リベルタンゴ東京バレエ団上野水香とブラウリオ・アルバレスが踊っていたが、衣装こそタンゴではあるものの、振り付けが完全にバレエ。タンゴらしいステップは望むべくもなかったところは残念だし、そうまでして東京バレエ団にこだわる演出には納得しかねる。

リモート合唱を伴った「レ・ミゼラブル」の「民衆の歌」は、歌い出しで別所哲也が音を止めるというハプニングも。リモートは音もズレるし、回線が途切れてしまうことも少なくないので、生中継では苦労も多かったことだろう。いろいろやり過ぎて焦点がボケたことは否めないが、チャレンジするのは悪いことではない。コロナ禍のこのご時世に、いろいろなアプローチで音楽に親しむ機会は本当に貴重なのだ。