【大分―横浜FC】誤解の始まりと終わり

今季の大分にとって、横浜FCとのゲームは大きなエポックになっていたような気がする。アウェイで対戦した第2節も序盤の2点を守り切って勝ったのだが、開幕ゲームのドローの後で勝ち点を4に伸ばしたものの、ここから9試合勝ちに見放されてしまう。横浜FC戦の幻影がなければ、つまりあの試合で負けるとか形にならないというような今季を象徴するゲームになっていれば、立て直すきっかけになったのではないかと思うのだ。なまじ勝ってしまったからこそ、「本調子を出せば上がっていける」という誤解が始まったのではないかと。

そして今節のホームゲーム。序盤から前線の3人に両ワイドが絡み、チャンスを立て続けに作り出す。野村から町田の先制点も見事だったが、オフサイドを取られたものの野村のシュートも秀逸だった。しかし、後半に入って形にならなくなる。押し込まれてもセイフティに蹴り出すだけで、つないで逆襲という場面が作れない。交代カードを切っても、何も変わらないまま終わってしまった。誤解は終わり、正しい理解が進むには十分なエビデンスがもたらされたと言ってよい。

来季は当然のことながら予算が縮小されるはずで、それはすでにGM西山哲平も言及している。屋敷や弓場、高畑といったアカデミー出身者や井上、藤本らをうまく使わなければ十分な戦力は組めないだろう。ターンオーバーまで意識して選手を揃えるのではなく、勝つべき時に勝てるチームでよいのではないか。もちろんケガが怖いのは当然だが、ビジネスと一緒で「集中」も必要だ。まずは監督をどうするのか。大分のチーム経営は伝統的に監督のクビを切れないので、三顧の礼で迎えるような大物でない方がよいだろう。