【横浜FC―大分】勝った気がしない勝利

2-0からの1失点は痛い。ここで1点取られると、追いかけている側に流れが移ってしまう。それはサッカー界の定説だ。今節の大分は、それを地で行ってしまった。序盤に三竿が「うまく合わせた」とも「たまたま当たった」とも言える形で先制すると、その2分後には横浜FCの袴田がクリアを空振りして流れてきたボールを小林成豪がゴール。小林は相手DFとGKの位置を読み切ってのコントロールシュートで、技術の高さをうかがわせた。

しかし、ここからはいけない。パスカットししてマイボールにしても、すぐにつなごうとして相手にパスしてしまうシーンが妙に多かった。高木のキックは収まらず、長谷川のサイドチェンジもほとんど見られない。下田はルヴァン神戸戦よりかなり馴染んできたが、横浜FCがサイドを抜かせないように守備していたこともあって、井上と福森を効果的に使う場面は限られた。僕も60分間は「いつ追いつかれるか」という気持ちで見ていたし、終わっても勝ったという爽快感や達成感はなかった。

ここまでの大分は選手を入れ替え、フィールドプレイヤーでは特別指定の宇津元を除いて全員をピッチに送り出した。それはチームの形が固まっていないことを示しているし、だからこそパスミスが多いということにもつながる。これでリーグ戦では勝ち点4を積み上げたのだから、ある意味、上出来だ。しかし、油断してはいけない。ルヴァン神戸戦のように刀根がDFを統率する形では、あれだけ失点してしまうのだ。現時点の最大の課題は、3バックか4バックか。そして、収まりのよい3バックで行くなら、センターに誰が入るかだ。片野坂監督も、まだ答えは見つけていないはず。ブラジル人選手の来日を待っていたのでは、遅すぎるだろう。