【TOKYO 2020】女子バスケ/日本―米国

決勝の舞台で、やはりアメリカは強かった。何が強いって、フィジカルだ。1Qに日本がインサイドで何もさせてもらえなかったのは、アメリカのディフェンスが堅いということだが、それはすなわちフィジカルの強さ。自由にプレーさせてもらえず、ショットを放ってもブロックされる。町田の必死のペネトレイトも、他の選手が思い通りに動けないから空回りしてしまう。どうやっても勝ちようがないと、そのときは感じていた。

しかし、ヘッドコーチのトム・ホーバスはさすがだった。フランス戦でアシスト記録を打ち立てた町田を下げて、PGに本橋を入れる。町田はディフェンスの隙を探してインサイドに選手を呼び込むプレーが強みだが、本橋はパスを回すことでフリーに打てる選手を作ることを重視しているように見えた。その結果、3Pが決まりはじめ、2Qだけで見れば2点差という接戦に持ち込むことに成功した。それでも、そこから突き放されてしまったのは実力の差というしかないが、90-75という点差は上出来だろう。

表彰式での日本女子の晴れやかな表情は素敵だったが、僕が期待していた2つの行動をしてくれたこともうれしかった。ひとつ目は、「ひまわり」というファーストネームを持つ赤穂が、ビクトリーブーケの中でひときわ目立つ自身の名前の花を見つけて、隣の選手と指を差し合っていたこと。そしてふたつ目は、アメリカやフランスの選手と交じり合って撮影大会を開いたことだった。素晴らしい結果を次につなげるべく、協会はしっかりとした戦略をもって欲しいし、男子にもぜひ応用して欲しい。