【大分-浦和】前途多難な初勝利

大分はなんとか勝ったけど、浦和が2人退場してすっかり安心してしまい、ボールへの、そしてゴールへの執着心が感じられなかった。「今日は負けないだろう」という甘えた気持ちが見え見えで、お見合いはする、ボールを追わないと負け癖のついたところを露呈してしまった。

浦和のギド・ブッフバルトはハーフタイムで「敵は12人いる」とコメントしていた。確かに終盤の深谷に対する主審の判定は甘いとも言えたが、アルパイの2枚目(1枚めのイエローに怒ってペットボトルを蹴り上げた)は当然だし、ネネも明らかに揃えた足の裏でパトリックの足に行っていた。それに対して大分は、全員が足元にばかり欲しがって、裏を狙う選手がいない。ドリブルしても、体制の悪い方へ悪い方へ向かってしまう阿部の交代はうなずけたが、代わりに入った松橋は力みすぎてフリーのチャンスを外してしまう。そのために、フリーの位置にいても、ドドやマグノアウベスからのパスがもらえなかった。要は信頼してもらえていないのだ。高松がアテネを思わせるような彼らしいダイビングヘッドで決めて、何とか大分は恥をかかないで済んだというところだろう。

皇甫官の選んだ先発は納得できる。ナビスコの東京戦でまずまずの守備を見せたDFライン(三木、柴小屋、深谷)をそのまま使い、パトリックをボランチに入れた。そしてドドとマグノアウベスのコンビネーションに賭けた。3枚の交代カードも順当だった。

しかし、この試合では敵ながらよく守った坪井と平川、そしてゴール前の守備から突破までひとりでこなしたエメルソンには拍手を贈りたい。主審の判定に不満ながらも、終了後に大分の選手と握手を交わしていた浦和は、すがすがしかった。