【ブラジル戦】この試合で得たもの

正直、物足りない。この試合での勝敗とかチームとしての成熟度とか、そういうことではない。それは、「ブラジルに勝とう」という意識があまり見られなかったからだ。もう少し具体的に言うと、「目の前のセレソンをぶち抜いてやろう」という意識は見えても、チームとしての勝ち方が見えなかったということだ。

最近はやりの「球際」では、決して負けていなかった。それはもちろん、アジアツアーというプレッシャーの少ない場面で、ブラジル代表が本気を出していなかったからだ。それでも、一瞬にして裏へ抜けるスキルや相手DFのマークを外すテクニックを見せつけたネイマールは別だった。彼にとっては、5万人を超える大観衆に注目される場で、母国開催のワールドカップで最後までピッチに立てなかった溜飲を下げていたのかもしれない。

この試合で、日本代表は何を得たのか。世界との距離か、あるいは「1対1でそこそこやれる」という誤った自信か。いずれにせよ、それが次の成長への糧になればよいのだが、それはあくまでチームとしてだ。初召集や経験の少ないの選手たちの自己満足では意味がない。

それにしても、実況に土井敏之、解説に金田喜稔というTBSの中継は最悪だ。選手への敬意もなければ、煽りも外している。そして、前半の中盤からウェーブを回し始めたシンガポールの観客たちは、サッカーにおけるウェーブは本来「退屈な試合への非難」であることを知るべきだろう。