監督批判をするのは簡単だが、監督が選手起用を決めるのは難しい。それを実感したゲームだった。為田はシーズンを通して見られなかった「縦に抜ける」意識が発揮され、見違えるほど。一方、松原は本来の持ち味である正確な速いクロスが見られず、足元の不安定さと後ろへの弱さが目についた。個性を生かし、伸ばすのが監督の仕事だとは言え、プロである選手にこそ一義的な責任はあるのだ。
松原のサイドバックや深谷の起用、西のジョーカーなどは納得感のあるキャスティングだ。この使い方を最初からしてくれていたら、「監督ができることはやったから、後は選手の責任」と考えることも可能だっただろう。
天皇杯でベスト8に進出した大分だが、これをもって田坂和昭続投論が出てくることを危惧している。戦い方を変えれば勝てるのに、変えずにこだわり続けたのは田坂だ。ここにきて来季への光明が見えてきたのではない。やればできることを放置してきたことの責任が、より明確になったと考えるべきだろう。
