【ロンドンオリンピック】なでしこJAPANにフラストレーション

決勝にピークを合わせたり、対戦相手や会場を考慮して戦い方を変える。それは、国際大会では当たり前であり、そんなことに意識のいかない監督は信用できない。今回のなでしこJAPANの2位狙いも当然の選択肢であることは理解している。何も考えずに選手が思うままに勝ちぬけてしまうようなチームは、単に成熟度が低いだけだ。

そこまで理解しているのに、昨日のなでしこJAPANのゲーム内容には納得がいかない。FWなのに点を獲ることに執着しているように見えない安藤や足元にボールが収まらない高瀬の出来はひど過ぎたし、岩渕の連携も最悪だった。何よりも不安要素だったのは、宮間のパスが精度を欠いていることだ。彼女の正確なセットプレーやスルーパスは、澤の存在以上になでしこJAPANの生命線なのだ。それなのに、ことごとくパスが狙ったところに向かっていかない状況では、この先の決勝トーナメントが思いやられる。

そしてもうひとつ、重要なポイントがある。金メダルまでの道程を見据えて2位通過を選んだ以上、ブラジルとの準々決勝で負けることは許されなくなった。それは自分たちの思いを満たせなかった選手の気持ち、ミレニアムスタジアムで大金を払ってつまらないゲームを見せられた現地サポーター、そして眠い目をこすって起きていたのに裏切られた日本のサポーターに対する佐々木監督の負った責任だ。