【サッカーU23】マレーシアに勝ち首位へ

序盤は動きが硬かった。ボールを前線に放り込んで、時間をかけずに一気に攻めてくるマレーシアのペースに合わせてしまい、中盤でのタメがまったく作れなかった。しかし、15分を過ぎたあたりで関塚監督が何かの指示を出したあたりから、中盤での緩急が作れるようになった。監督の指示なのだとすれば、適切だったと言えよう。

印象的だったのは、攻める姿勢を見せた攻撃陣。原口と東が、がむしゃらに仕掛ければ、齋藤学が絶妙なポジショニングでパスの選択肢を増やした。酒井宏樹の突破も冴え、山口と扇原のダブルボランチも機能していた。先制点を生み出す突破を見せ、自らもゴールを決めた原口がMVPだろうが、チームへの貢献度では斎藤も捨てがたい。シリア戦では散々だったGK権田も、必死さが伝わってくるプレーで好感が持てた。

そんな中で不安は左サイドバックの比嘉だ。クロスはまったくチャンスにならないし、背後を突かれてピンチを作り、カード寸前のファウルも頻発。以前にも彼を酷評したことがあるが、あの程度の選手を先発起用しなければならないほど、このポジションは手薄なのだろうか。もちろん、酒井高徳が召集できれば、何の問題もないはずなのだが…

いずれにしても、これで再びグループ首位。最終戦で大敗しない限りは、オリンピックのチケットは固いだろう。ネットでは早くも「勝って決めろ」という声が主流になっているが、あくまで予選の目的は本戦への出場権の獲得。グループ首位が取れるのなら、引き分けでも負けでも構わない。オフトが勝ち切ることを狙って投入した武田が、ドーハの悲劇の基点となった史実の二の舞だけは勘弁してもらいたい。