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【小説】海が見える家 それから

はらだみずきの前作「海が見える家」を読了した直後に、たまたま書店で見かけて迷わず購入してしまった続編「海が見える家 それから」。前作で欠けていたキャラの立て方には、かなり注力した印象があり、登場人物のバックグラウンドがしつこいくらいに描かれ…

【小説】海が見える家

はらだみずきの「海が見える家」は、文庫化にあたり「波に乗る」を改題した作品。突然死した父親が南房総に残した家で遺品整理をする中で、都会とは異なる生活様式に触れて徐々に惹かれてゆくストーリーだ。舞台となる富浦は、僕が小学生のころに叔父によく…

【村上春樹】一人称単数

村上春樹の新しい短編集を読み進めながら、違和感が増していった。果たして、これは小説なのだろうか、ノンフィクションのエッセイではないのだろうかという思いだ。そして、ある作品に至って、それが明らかに創作であると確信する。そしてあらためて考えて…

【原田マハ】アノニム

原田マハのエンターテイメント作品「アノニム」がKADOKAWAから文庫で出ていたので、読んでみた。彼女は本来、文学的な小説を書いているのだが、これは登場人物をイラストがあり、設定もいかにもシリーズ化をもくろんでいるように見える。それなりにおもしろ…

【原田マハ】デトロイト美術館の奇跡

「デトロイト美術館の奇跡」は財政破綻したデトロイト市の美術館を巡り、市民が美術品の売却を避けようと基金を作って独立法人化するという硬派なストーリーを、原田マハらしく絵画と美術館職員、アート好きな市民の視点で描くハートフルな物語だ。彼女にし…

【原田マハ】風神雷神

原田マハの新刊「風神雷神」を読了した。彼女の持ち味は専門領域であるアートを素材とした展開力だが、これまでにも増して壮大なフィクションに仕立て上げられていた。悪く言えば「大ボラ話」でもあるのだが、掛け値無しに面白いし、先を読みたくてワクワク…

【原田マハ】たゆたえども沈まず

「暗幕のゲルニカ」に続いて、原田マハの作品「たゆたえども沈まず」を読了しました。これはフィンセント・ファン・ゴッホのパリ以降の生涯が、弟のテオや日本人画商の林忠正、そして架空の人物である重吉の目を通して綴られます。ゴッホといえば、耳を切り…

【原田マハ】暗幕のゲルニカ

新潮文庫で原田マハの「暗幕のゲルニカ」を読了しました。僕はマドリードのソフィア王妃芸術センターでゲルニカを鑑賞しましたが、展示室に入った瞬間に感じた衝撃を鮮明に覚えています。言葉では表現し尽くせないような、やるせないというか狂おしいまでに…

【ダン・ブラウン】「Origin」を読了

Dan Brownの「Origin」をUS版で読了しました。宗教と科学の対立について大風呂敷を広げて展開するのですが、実はAIの物語なのかもしれません。Winstonと名付けられたアシスタントのようなコンシェルジュのようなAIをストーリーテラー的に登場させますが、謎…

【ダン・ブラウン】新刊「Origin」

早く読みたいと思いつつ、なかなか買いに行く時間が取れなかったDan Brownの新刊「Origin」をようやくゲットしました。日本語版はまだしばらく出そうもないので、とにかく英語版で読んでしまおうということですが、僕が英語でも読もうというモチベーションが…

【村上春樹】「騎士団長殺し」を読了

村上春樹の「騎士団長殺し」を読了したが、「第2巻終わり」と書いてあったということは「1Q84」や「ねじまき鳥クロニクル」のように、しばらくしてから第3巻が出るのだろう。 この作品で春樹が表現したことを一言でまとめれば「何が事実かではなく、自分がど…

【村上春樹】騎士団長殺し

村上春樹の新刊が出ることに気づいたのが昨日でした。気分が一気に盛り上がったので、朝の出勤前に渋谷の山下書店で購入しました。「騎士団長殺し」は上下巻で、まだ冒頭の部分した読んでないものの、境遇や興味が僕に通じることもあって興味を惹かれます。

【鈴木光司】ブルーアウト

「リング」「らせん」を書いた鈴木光司の新刊「ブルーアウト」を読了しました。トルコの軍艦・エルトゥールル号が和歌山県串本沖で難破し、69名が地元民に救助された史実を描いた内容です。イラン・イラク戦争の際に在イラン邦人の脱出のために、JALすら拒ん…

【東野圭吾】人魚の眠る家

東野圭吾の新刊「人魚の眠る家」を読了しました。扱っているテーマは医療絡みの重いものなので、ちょっと身構えてしまうのですが、東野が語りたかったことは「自分の価値観からの解放」なのだと感じました。固定観念に凝り固まらずに視点を変えてみたら、も…

【刑事 雪平夏見】アンフェアな国

篠原涼子主演のドラマ&映画で人気の「アンフェア」。その原作である秦建日子の小説「刑事 雪平夏見 アンフェアな国」を読了しました。軽快なテンポとリアルな会話は秦建日子の魅力だけど、今回のように日韓関係のような重いテーマを扱うと、こんな軽くていい…

【宮部みゆき】過ぎ去りし王国の城

宮部みゆきの新刊「過ぎ去りし王国の城」は、最近宮部が傾倒しているRPGのような仕立てのファンタジー。大きなテーマとしては、「カタストロフ」。僕の好きな橋本治の「暗夜」や荒俣宏の「帝都物語」にも共通する壮大で切ないテーマなのですが、すべてにおい…

【東野圭吾】ラプラスの魔女

東野圭吾の新刊「ラプラスの魔女」を、発売日前日に恵比寿の有隣堂書店でフライングゲットして一週間で読了しました。東野の「これまでの私の小説をぶっ壊してみたかった。そしたらこんな作品ができました」という言葉が特設サイトで踊っていますが、題材こ…

【J.T.ブラナン】神の起源

「ダン・ブラウン×X-file」という宣伝文句は決して嘘ではないけれど、ダン・ブラウンほど練り込まれた設定には至っておらず、X-fileにしては月並みすぎる仕掛けとも言えます。南極で4万年前の氷から発見されたホモ・サピエンスの遺体に端を発する物語は、時…

【周木律】アールダーの方舟

年末に読んでいた周木律の「アールダーの方舟」を読了しました。題材としては「ノアの方舟」をめぐってキリスト教、イスラム教、そしてユダヤ教が絡むミステリで、もともと興味があるテーマだけにとても面白く読めました。「生」に関わる解釈についても、共…

【原田マハ】楽園のカンヴァス

オーランドへの出張に向かう成田空港で、たまたま見つけた文庫がこの「楽園のカンヴァス」でした。アンリ・ルソーの描いた「夢」を巡るミステリですが、美術史をしっかり学んだ著者だからこそ書ける渾身の一作です。ピカソも重要な役回りを果たし、エル・グ…

【東野圭吾】マスカレード・イブ

東野圭吾の「マスカレード・イブ」は、「マスカレード・ホテル」につながるプロローグ的な連作短編集です。発売日の朝にわざわざ遠回りして赤羽の駅ナカの書店で購入したのに、読んでからだいぶ時間が経ってしまいました。 レビューの評判は悪くないようです…

【辻村深月】盲目的な恋と友情

辻村深月の作品には当たり外れがあるように思っています。新刊の「盲目的な恋と友情」は、学生オケや就職活動というまさに僕のホームグラウンドを題材としている部分が大きいので、どうしても厳しい目で見てしまいがちでした。例えば女性のコンサートマスタ…

【村上春樹】ドライブ・マイ・カー

村上春樹の新しい短編集「女のいない男たち」を発売日に購入し、まずは「ドライブ・マイ・カー」を読んでみました。一人称ではないけれど、主人公の視点からの語り手によって展開します。説明的な文章が続くものの、その中身はとても濃密。僕が短編小説に求…

【湊かなえ】豆の上で眠る

以前は出版されるたびに読んでいたのですが、ちょっと飽きてしまった湊かなえ。新刊「豆の上で眠る」が出たので、久しぶりに彼女の作品を読んでみました。本作には「行方不明になった姉。真偽の境界線から、逃れられない妹――。あなたの<価値観>を激しく揺…

【スティーブン・キング】11/22/63

スティーブン・キングの新刊「11/22/63」が昨年9月に発売になり、書店で手に取ってみたのですが、僕の嫌いな二段組の上に訳が古臭かったので買わずに帰ってきてしまいました。傍点をつける翻訳は好きじゃないし、言葉が活き活きしていなかったんですよね。で…

【よしもとばなな】花のベッドでひるねして

先日、出張に向かう品川駅で買ったよしもとばななの「花のベッドでひるねして」を、帰りの新幹線で読了してしまいました。これはファンタジーの要素を多分に含んだ小説で、不思議な世界観に浸れます。現実にありそうで、でもどこかしら現実味を欠く設定が、…

【ダン・ブラウン】インフェルノ

ダン・ブラウンの新作は「ダヴィンチ・コード」でおなじみのロバート・ラングドン教授を主役とするシリーズの「インフェルノ」です。ワシントンD.C.を舞台とする前作「ロスト・シンボル」よりこちらの方が先に映画化されるそうで、またしてもトム・ハンクス…

【鈴木光司】タイド

「リング」シリーズの続編で映画「貞子3D」の原作となった「エス」に続いて出版された鈴木光司の「タイド」。彼らしい科学と伝奇、あるいはデジタルとアナログの絶妙なバランスで書かれた小説は、「リング」を一種の聖典として扱っています。「リング」「ら…

【村上春樹】色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

金曜日の夜に購入した村上春樹の新刊「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を、昨日読了しました。春樹といえば「僕」を一人称としたファンタジックな小説が持ち味だったのですが、「1Q84」以降ストーリーテラーの視点での語りに転向しています。「…

【村上春樹】新刊発売の喧騒

村上春樹の新刊「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」が、今日発売されました。テレビのニュースでは午前0時に発売した書店の様子や、待ち切れずに読み進めている人の感想などを取り上げていましたが、明らかに騒ぎ過ぎな印象です。朝の通勤途中に赤…