【アジアカップ】采配ミスを挽回

アジアカップ決勝のオーストラリア戦は、もう語り尽くされた感がある。岩政の投入によって前線に出した長友のクロスから、これも交代出場の李忠成が決勝ゴール。素晴らしい結果であることは間違いない。しかし、よく考えてみれば、なぜ先発が藤本だったのか、今野が空中戦で狙われることは想定しなかったのかという疑問にたどり着くのだ。

結果を見た上で言うなら、センターバックは吉田と岩政がよかったのは自明だ。しかし、このブログでも指摘しているように、予選リーグからDFラインのコントロールは決してうまく行っていなかった。つまり、今野を下げるリスクはそれほどなかったのだ。確かにケーヒルは高さというよりも裏を狙う動きに特徴があるから、ラインコントロールを気にするのはわかる。要はどちらのリスクを重視するかで、ザッケローニはその判断を誤った。

藤本に関しては、フル代表に近いレベルの国際経験の乏しさが気になっていた。彼はU-17やユニバーシアードでは活躍しているが、このあたりの大会とフル代表はまったく違う。今回は北京世代が機能していたが、一般的にはオリンピック代表の選手でもJリーグのレギュラーになれないケースは多い。結果として藤本は、自分の力を出せないままに終わってしまった。かつてナイジェリアで開催されたU-20ワールドカップで日本代表が決勝に進出した際、小野の欠場で起用された氏家(フリューゲルス→大宮)がまったく同じ状況だったことが思い出される。

しかし、ザッケローニは限られた時間の中で自ら挽回することができた。その決断には選手たちの意向も反映されていたようだが、それはザッケローニの評価を高めはしても下げることはないはず。交代出場の選手たちのモチベーションマネジメントと併せ、彼の力量を知らしめた結果となったのだ。